2008 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚における特徴検出過程に対する注意の働きに関する研究
Project/Area Number |
19730456
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
川島 尊之 Teikyo Heisei University, 帝京平成大学・健康メディカル学部・臨床心理学科, 講師 (50401203)
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Keywords | 実験系心理学 / バーチャルリアリティ / 神経科学 |
Research Abstract |
聴覚が計算論的に不良設定問題である音源分離の問題を解決するためには,処理の最初の段階で音入力をいくつかの特徴の次元で分析し,次にその分析結果を適切に統合する必要がある。分析する特徴としてはトノトピックな周波数に加え,振幅変調,両耳間時間差などの音源位置手がかり,周波数変調などが有力な候補である。こうした特徴の分析は自動的,並列的に行なわれると仮定する場合が多いが,こうした過程がどの程度トップダウンな注意の影響を受けるかについては未だ明らかになっていない点が多い。今年度は,主に音源位置検出過程への注意の影響評価を行った。前年度より行っている振幅変調の検出過程に対して用いた手法を音源位置検出に対して適用したところ,注意をそらすためのディストラクタ音声の働きが両者の間では同一ではないことが判明した。この予期せぬ結果から前年度と同じ方法を用いることは結果の解釈を複雑にするため適切でないことが明らかになった。このため音声を用いず,複数の純音を同時に提示することで個々の音源に注意を向けにくい聴取状況を作り実験条件に含めた。これまでと同様知覚的な順応の強さが,順応音への注意の向けやすさによりどのように変化するかを研究したところ,残効の量は注意の向けやすさの影響を有意に受けなかった。この結果は聴覚系において定位情報の検出がある程度自動的に行われていることを示している。加えて主に前年度の成果(と今年度の統制実験の結果)に基づく振幅変調音に対する注意の影響について学会発表を行った。
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