2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730458
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
畑 敏道 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 教務員 (50399044)
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Keywords | オレキシン / 脳内報酬系 / 脳内自己刺激 / コルチコトロピン放出因子(CRF) / ドーパミン / マイクロダイアリシス |
Research Abstract |
平成19年度の研究では、視床下部新規神経ペプチド・オレキシンが脳内報酬系の機能に与える効果について検討するための実験を行った。外側視床下部の内側前脳束に刺激電極を留置し、テットがオペラント箱内の小穴に鼻を差し入れると刺激電極を介して同部位が刺激されるという脳内自己刺激行動を形成させたラットの腹側被蓋野ヘオレキシンAを投与することで、脳内自己刺激の報酬閾値が上昇することが明らかになった。また、マイクロダイアリシス法を用いた実験により、腹側被蓋野へのオレキシンA投与は、投射野である前頭前野、側坐核core野、分界条床核、扁桃体中心核でのドーパミン放出を増加させることが明らかになった。特に分界条床核、扁桃体中心核はコルチコトロピン放出因子(CRF)ニューロンを含有し、CRFの脳室内投与は脳内自己刺激の報酬閾値を上昇させることから、腹側被蓋野へのオレキシンA投与がこれらの領域のCRFニューロンを活性化させることで報酬閾値の上昇を招いたと考えられた。そこでオレキシンAによる閾値上昇効果がCRFアンタゴニスト(D-phe CRF(12-41))処置によって抑制されるか否かを検討したところ、実際にオレキシンAの閾値上昇効果が減弱された。これらの結果は、腹側被蓋野でのオレキシンAはCRF系を介して報酬閾値の上昇を惹起することを示唆している。オレキシンAが摂食促進ペプチドであるという事実は、直感的には、オレキシンが報酬系に対して促進的に作用することを示唆しているようだが、実際には抑制的に作用していることを明らかにした点が本研究の意義である。
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