2008 Fiscal Year Annual Research Report
文脈的判断を可能にする前頭前野の神経メカニズムの解明
Project/Area Number |
19730468
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
則武 厚 Tamagawa University, 脳科学研究所, 嘱託教員 (80407684)
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Keywords | 前頭前野 / 文脈的判断 |
Research Abstract |
霊長類を始めとする高等哺乳類は, 環境内の特定の刺激に対し文脈に応じて反応を変えることが出来る. この柔軟な判断機能は, 前頭連合野の発達に伴い進化してきたと考えられており. 前頭連合野の研究が盛んであるにも関わらずそのメカニズムは解明されていない. そこで本研究の目的は, 刺激と刺激の関係を反応へと結びつけることを必要とする課題下における前頭前野の働きを調べ柔軟な文脈的判断を可能にするメカニズムを明らかにすることである. 具体的には, 呈示した2つの視覚要素(動き・色)刺激を統合し, それらの要素とは異なる次元の反応(go・nogo反応へとびつけることを要求する課題題をサルに学習させた. 同時にその二つの刺激を呈示する条件(課題(1))に加え, 刺激の出現する空間位置・タイミング・順序を操作した課題(課題(2)・(3))遂行中のサル前頭前野の神経活動を測定し, どのように2つの視覚情報が統合し意志決定や行動となるかを追うことにより, 柔軟な文脈的判断を可能にするメカニズムの解明に迫ることが可能となる. H20年度は, ニホンザル2頭目に課題(1)を学習させ, その行動解析を行うと共に, 課題遂行中のサル前頭前野の神経細胞からの単一細胞活動記録, 複数チャンネルによる細胞外活動記録システムのセットアップを行い記録を試みた. また, H19年度に日本神経学会および米国神経科学大会など国内外で報告した結果(刺激と刺激の関係を反応へと結びつける状況における前頭前野背側の重要性, 文脈的判断を可能とする基礎的な神経メカニズムの一端)を現在, 論文にまとめている.
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