2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730469
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
緑川 晶 Chuo University, 文学部, 准教授 (90421833)
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Keywords | パーキンソン病 / 音楽療法 / リハビリテーション / リズム / 歩行 / 手指タッピング |
Research Abstract |
本研究は,パーキンソン病患者の運動機能を定量的に評価するとともに,適切な介入方法を見いだすことを目的とする.平成21年度は,近隣のシルバー人材センターから健常高齢者14名を,某大学病院の神経内科からパーキンソン病患者11名を協力研究協力者として募った.それぞれに対して,手指タッピング課題を用いて,自発的なタッピング課題各種外部指標に対する同期課題,指標の速度と異なった速度でのタッピングを求める分割課題を実施した.分析の結果,1)自発的なタッピング,外部指標に同期するタッピングともに,タッピングの速度ではパーキンソン病患者と健常高齢者の問に差を認めなかった.一方,パーキンソン病患者において,より大きくタッピング間隔に変動(揺らぎ)が見られることが確認された.ただし外部指標に対して常に変動が大きいわけではなく,指標の種類や速さに影響を受けることが明らかであった.また,2)指標の速さに対して求められるタッピングの速度が倍速となる分割課題では,パーキンソン病患者は速度を適切に維持することが困難であった.この結果はパーキンソン病患者が,いわゆる運動表出の障害だけではなく,それを維持するための内的(認知的)なリズム形成機構の障害を伴っていることを示唆するものであり,本手法によって初めてそのことが確認された.また,健常高齢者の中にも分割が困難な被験者が存在することも明らかとなったことから,今後はそのような健常高齢者の中の分割困難者を長期的に観察することが重要であると考えられた.
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