2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730473
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
堀江 亮太 The Institute of Physical and Chemical Research, 言語発達研究チーム, 研究員 (60327690)
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Keywords | 乳児 / 単語分節化 / 統計学習日本語 / 馴化後選好振り向き法 / 人工語 / 特殊拍 / 事象関連電位 |
Research Abstract |
本研究は、日本人乳児を対象に、日本語環境に特徴的な音声刺激に対する単語分節化能力の発達を、発達行動心理学の行動実験手法と電気生理学の誘発電位測定実験手法を用いて明らかにすることを目的とする。研究手法として、乳児に人工語が埋め込まれた人工超分節系列を数分間聞かせ馴化させた後に、選好振り向き法により人工語の弁別をテストする統計学習実験(saffranら1996, Aslinら1998)を行い、また、音声刺激に惹起される事象関連電位も測定する。平成19度度の報告書では、先行研究で報告され,た8ヶ月の英語圏乳児の単語分節化能力が、6, 8、10ヶ月の日本人乳児を対象とした学習実験では示されないことを報告した。その後、純音刺激による分節化実験を8ヵ月乳児43人(19年度39人、20年度4人)に行ったところ、英語圏の先行研究報告(saffranら1999)と同様に部分単語に選好を示すことが明らかとなった。また、(単語出現頻度の統制をとらない)簡単な2モーラ語の人工超分節系列を用いた実験を8ヶ月乳児38人(すべて20年度)に行りたところ、単語に選好を示すことが分かった。これより、日本人乳児の単語分節化能力は、英語圏乳児と異なり、刺激に依存することが明らかとなった。また、これらの選好振り向き実験においては、乳児の最大注視時間が予想よりも長くなることが明らかとなった。事象関連電位測定実験は、母音の違いや特殊拍の挿入に惹起されるMMNの測定を昨年度に引き続き行い、4ヶ月を中心とした乳児103名(10, 12ヶ月等を含む、すべて平成19年度)と成人41人(平成19年度22人、平成20年度19人)の測定を行った。
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