2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730487
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
岡部 美香 Kyoto University of Education, 教育学部, 准教授 (80294776)
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Keywords | 新教育 / 文化史 / 比較教育史 / 領有 / エレン・ケイ / 児童の世紀 |
Research Abstract |
本研究は、20世紀初頭の新教育の思想を対象として、当時のさまざまな社会集団によるその領有の仕方について考察し、これを通して、思想の読者(集団)が構成する社会構造や緊張関係、そして新教育の思想の社会的な布置を解明することを目的としている。この目的のもと、本年度は次のような成果を得た。 まず、比較教育文化史的なアプローチに関して、従来の教育思想解釈の流れにこのアプローチを位置づけ改めて意味づけるべく論稿をまとめ、教育思想史学会第19回大会(於:大阪大学)のフォーラムで発表した(発表題目「教育思想の読み/解釈における戦略・戦術と倫理」)。文化史的アプローチについては昨年までのR・シャルチエ、J・デリダ、J.=L.ナンシーに加え、G・アガンベン、W・ベンヤミンらの思想を手がかりとすることにより、さらなる精査を行いつつある。 次に、スウェーデンにおける新教育の思想の領有に関する考察を進めた。日本国内およびスウェーデンの大学・王立図書館・研究所において関連文献を収集し、新教育の思想の先駆とされるE・ケイ「児童の世紀』がスウェーデンの読者(集団)にどのように読まれたかを分析考察した。 なお、現在は、スウェーデンに関する上記の考察と、昨年までの課題であった日本およびドイツにおける新教育の思想の領有に関する考察とを対象として、比較教育文化史的な視点から分析を進めている。
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Research Products
(1 results)