2009 Fiscal Year Self-evaluation Report
The Comparative and Intellectual-historical Study on the Appropriation of A New Educational Theory
Project/Area Number |
19730487
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
OKABE Mika Kyoto University of Education, 教育学部, 准教授 (80294776)
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Project Period (FY) |
2007 – 2010
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Keywords | 教育史 |
Research Abstract |
本研究は、20世紀初頭の新教育の思想を対象として、当時から現代に至るさまざまな社会集団による思想の領有のあり方を考察するものである。この考察を通して、思想の読者(集団)が構成する社会構造や相互の緊張関係、そして新教育の思想の社会的な布置について解明することを目的とする。 本研究において具体的な研究対象となる新教育の思想は、スウェーデンの思想家エレン・ケイが著した『児童の世紀』(1900)である。この著作は、20世紀初頭に生起・展開した新教育運動のバイブルとして、当時、世界各国で熱狂的に受容され、その後も20世紀を通して読まれ続けた。 本研究では、ケイの本国スウェーデン、ケイの思想をもっとも熱狂的に受容したドイツ、ドイツから影響を受けてケイの思想をやはり熱心に受容した日本において、20世紀初頭から現代まで『児童の世紀』がどのような読者(集団)によって、どのように読まれてきたかを分析する。この分析を通して、上記のように、それぞれの時代の社会構造や社会的緊張関係、そして新教育の思想の社会的な布置を明らかにする。 さらに、本研究では、思想の受容史について新たな方法論の開発に取り組む。具体的には、フランスの歴史学研究者ロジェ・シャルチエの方法論を基軸に、ミシェル・ド・セルトー、ジャック・デリダ、ジャン=リュック・ナンシーらの歴史学的方法論、解釈学的方法論を参照することによって、思想の読者による思想の領有を分析するための教育文化史的方法論について精査する。
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Research Products
(5 results)