2008 Fiscal Year Annual Research Report
パフォーマティヴィティによる人間形成論に基づく道徳教育実践モデルの研究
Project/Area Number |
19730493
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
奥野 佐矢子 Shimonoseki City University, 経済学部, 准教授 (40433388)
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Keywords | 教育学 / 道徳教育 / 人間形成 / パフォーマティヴイティ |
Research Abstract |
今年度は、昨年度構築した言語のパフォーマティヴィティによる道徳性形成モデルを手がかりとしつつ、この観点から評価しうる道徳教育実践のモデル(たとえばセカンドステッププログラム)について、主に道徳教育論を中心に社会学・心理学の領域にも目配りしながら資料収集した。現在分析中であるこの研究の成果については、来年度中旬にまとめる予定である。加えて、昨年度ハーバード大学などで収集してきた民主的討議を通じた道徳性形成実践に関する諸資料を読み込み、言語のパフォーマティヴィティと道徳性発達心理学理論との連関について精査を行っている。 また昨年度の研究実績として、言語のパフォーマティヴィティと人間形成の連関について次の点を指摘した。すなわち言語の慣習的な反復は、その言語の外部に規範的な力を生み出すとともに、反復する人間の内面にも言語の規範的な力を及ぼしていく。今年度はこの両義的なメカニズムについて引き続き精査し、言語の慣習的な反復による規範性の生成プロセスについて、またそうした言語の規範性を内面化していくアイデンティティ形成のプロセスについて、具体的に明らかにした。研究成果としては教育哲学会第51回大会における口頭発表「道徳理論と性的差異-ギリガン『もうひとつの声』をめぐって-」(2008年10月)、および中国四国教育学会第60回大会における口頭発表「アイデンティティと差異に関する一考察」(2008年11月)、そして「アイデンティティと主体に関する-考察-言説による主体形成モデルに基づくアイデンティティ論の展望と課題-」(『教育学研究紀要第54巻』中国四国教育学会、2008年、7-11頁)がある。
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