2009 Fiscal Year Annual Research Report
「語り」についての臨床教育学的研究―Langeveldの「コロンブス」を通して
Project/Area Number |
19730508
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
西 隆太朗 Notre Dame Seishin University, 人間生活学部, 准教授 (70368679)
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Keywords | コロンブス・テスト / 「語り」 / 臨床教育学 / 解釈の方法論 / 投影法 / 精神分析学 / 保育学 / 事例研究 |
Research Abstract |
1. フィールドワークと事例研究 本年度は、子どもを主な対象としてつくられた「コロンブス・テスト」を、実際に保育園児たちに実施し、得られたデータからの検討をおこなった。また、コロンブスの作成にあたってLangeveldが"ともに手を取り合って子どもの心の世界を渉猟する"ことを意図していたこと、またコロンブスのもととなったTATが、精神分析における"自由連想"に導きやすくする手段であったという、本来の意義に基づいて、自ら保育園の子どもたちとかかわるフィールドワークを30回以上おこない、そこで得られる子どもの「語り」についての記録・検討を進めた。 2. 事例にもとつく方法論的研究 学会発表「共時性―関係の中で語りを理解する視点」では、子どもたちのコロンブス的な「語り」を解釈する方法論について、保育園での事例にもとつく検討をおこない、ユング心理学における「共時性」の概念を「語り」を理解するという新しい観点から捉えなおす意義を示した。また、図書の一部として発表した論文「関係性の投影スクリーンとしての身体―フォーカシングにおける語りとその意味」においては、フォーカシング事例にもとつく会話の詳細な検討を通じて、これまで進めてきた「語り」を解釈する方法論についての仮説をさらに支持する例証を示した。 3. 今後に向けて 先述した保育園・幼稚園でのフィールドワークは現在も継続しており、そこでの事例をもとに、さらに箱庭療法学会にて「関係性の中で移行するイメージの多層性」を発表するなど、臨床心理学・臨床教育学・保育学における研究成果の発表を続けていく予定である。
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Research Products
(2 results)