2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730511
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Research Institution | Setouchi Junior College |
Principal Investigator |
土井 貴子 Setouchi Junior College, 養護教育学科, 講師 (00413568)
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Keywords | 教育史 / 大学成人教育史 / 大学史 / 労働者教育協会 / イギリス |
Research Abstract |
本研究は,近代イギリスの大学の社会連携のあり方を明らかにすること目的としている。とくに,オックスフォード大学とキール大学に着目し,両大学と労働者階級への高等教育の普及をめざして設立された労働者教育協会とが連携,協力して展開した大学成人教育運動に焦点を当てる。大学が単独でではなく,労働者教育協会を媒介として労働者組織と結びつきつつ大学成人教育を展開したことは,イギリスの大学の社会連携の特徴の一つである。 本年度は,オックスフォード大学と労働者階級の任意団体のなかで最も教育事業に熱心であった生活協同組合に着目し,1880-90年代の両者の連携について考察した。生活協同組合の教育事業の展開におけるオックスフォード大学拡張委員会の関わりを明らかにした。この成果は,日本社会教育学会の研究大会において報告した。 また,大学と労働者組織との結節点となった労働者教育協会の代表アルバート・マンスブリッジの大学観を考察するため、新聞、雑誌、機関誌等に掲載されたマンスブリッジの論稿を収集した。マンスブリッジの主張する労働者に対する大学教育の意義や大学の機能についての見解を当時の社会的文脈のなかで考察することは、教育を提供する側である大学と受け手の労働者の結びつきを可能にした成人教育観を明らかにすることにつながると考える。キール大学については、前身であるノース・スタッフォードシャー・ユニバーシティ・カレッジが、労働者教育協会と連携して実施した構外教育事業を検討するため,史料収集をおこなった。同カレッジが地域の成人教育団体とどのような教育組織を構築したのか,その組織はどのような目的を掲げ,いかなる教育を提供したのかといった点について考察をすすめていきたい。
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Research Products
(2 results)