2007 Fiscal Year Annual Research Report
オーストラリアにおける全国学力調査と教育基準-統一性と多様性を視点として-
Project/Area Number |
19730524
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Research Institution | Hokkaido Bunkyo University |
Principal Investigator |
伊井 義人 Hokkaido Bunkyo University, 外国語学部, 准教授 (10326605)
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Keywords | 全国学力調査 / オーストラリア先住民 / トレス海峡 / 社会的公正 / 教育成果 / ベンチマーク / 比較教育学 |
Research Abstract |
本年度は、本研究計画の初年度であるため、オーストラリアにおける全国学力調査に関する基礎的な調査・研究を実施した。具体的には、学力調査の(1)目的と理念、(2)各州・学校レベルでの実施過程、(3)成果の分析を視点として、同国における学力調査に関する基礎的な情報収集とともに、現地調査を本年度は行った。第一に、連邦教育担当省や各州教育大臣協議会などのホームページを通して、学力調査が導入されるまでの背景に関連する資料収集・分析をした。第二に、現地調査では木曜島、ケアンズ、タウンズビルにおける初等学校・中等学校・教育省を訪問した。各学校では管理職、英語・数学(算数)担当教員、教育省の地方事務局では学力調査の担当官と面談し、学力調査実施プロセスに関するインタビュー調査をした。ここでは、学力調査に携わる教員、行政官が必ずしも学力に関して、統一の考え方を持っていないことが明らかとなった。 現地調査を行う際の視点としては、学力調査の実施過程に注目した。その中でも、全国一律の基準としてのベンチマーク(到達最低基準)を受容し、都市部や地方部の学校が教育実践を展開する過程に焦点を絞った。今年度、現地調査した場所は、特に先住民児童・生徒の割合が多い場所を選定した。そのため、各分野においてベンチマークを下回る生徒の割合も高い。そのため、ベンチマークの到達度の結果に対する州・学校レベルでの財政的、教育的サポートの充実を目的とした諸計画を作成し、実施している。また予算配分などへの学力調査の結果の影響などについて関係諸機関でインタビュー調査などを行った。来年度以降は、都市部における学校での全国学力調査の実施家庭の調査を実施し、先住民生徒だけではなく、移民の非英語母語話者の生徒に対する教育サポートなどを現地調査することを計画している。
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