2008 Fiscal Year Annual Research Report
オーストラリアにおける全国学力調査と教育基準-統一性と多様性を視点として-
Project/Area Number |
19730524
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
伊井 義人 Fuji Women's University, 人間生活学部, 准教授 (10326605)
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Keywords | 全国学力調査 / オーストラリア先住民 / トレス海峡島嶼地域 / 社会的公正 / 教育成果 / ベンチマーク / 比較教育学 |
Research Abstract |
今年度は、本研究計画の二年目である。そこでオーストラリアにおける全国学力調査に関する基礎的な調査・研究を継続するとともに、現地調査に重点を当てた。また2008年から、全国学力調査の形態が大幅に改編され、その現状についても合わせて調査を行った。具体的には、全国学力調査の(1)目的と理念の変化、(2)各州・学校レベルでの実施過程の変化、(3)新旧成果の比較分析を視点として、同国における学力調査に関する基礎的な情報収集は昨年度と同様に実施した。第一に、連邦教育担当省や各州教育大臣協議会などの資料を通して、新学力調査が導入されるまでの背景を分析した。第二に、現地調査では木曜島、ケアンズにおける学校・州教育省を訪問した。各学校および地方教育事務所では学力調査の担当官と面談し、新旧の学力調査の影響やその成果に対する保護者の反応に関するインタビュー調査をした。また、州教育省の担当官からは、必ずしも連邦政府と州政府の学力調査に関する考え方が共通ではないという現実を提示された。現地調査を行う際の視点としては、学力調査の実施過程およびその成果に対する地域の反応に注目した。今年度も引き続き、調査を実施した場所は、先住民の割合が多い場所を選定した。そのため、各分野において学力が低迷している生徒の割合も高い。そのため、低学力の生徒に対する州教育省・学校は教育支援の充実を目的とした諸計画を作成し、実施している。今年度はそれらの実施に関する調査とともに、政府や学校の取組みに対する地域社会の反応なども、主に地方紙の記事分析を通して、明らかにするよう努めた。 来年度は最終年度のため、地方部だけではなく、都市部における全国学力調査の実施過程およびそれに対する地域の反応に関する調査を実施したい。また、先住民生徒だけではなく、移民の非英語母語話者の生徒に対する教育サポートなどを現地調査することを計画している。
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