2007 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本における奨学金制度に関する政策的・実証的研究
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19730527
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
白川 優治 Waseda University, 教育・総合科学学術院, 助手 (50434254)
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Keywords | 高等教育 / 奨学金 / 学生支援 / 教育政策 |
Research Abstract |
本研究は、(1)戦後日本における国の奨学金制度・政策の転換期における政策過程の分析、(2)地方自治体による奨学金制度の実証的分析、(3)民間育英奨学団体の奨学金事業の実証的分析の3点を具体的な研究課題としている。 本年は、(2)の研究テーマに重点的に取り組み、全国雪1818市区町村(2008年1月15日時点の全ての市区町村)の教育委員会教育長を対象に「地方自治体による教育費支援事業に関するアンケート調査」として質問紙調査実施し、各地方自治体による就学援助・奨学金制度などの家計の教育費負担を支援するための各種事業について尋ねた。61.1%にあたる、1111の自治体より回答がなされた結果、6割以上の自治体において、大学生を対象とする何らかの奨学金事業が行われていることが明らかになった。また、社会的格差の増大等を背景に地域社会における教育費支援事業の必要性が増していることが実態されている一方で、公財政の逼迫等によりその事業遂行に課題を生じつつある現状がみられた。調査結果の詳細については、本研究の2年目にあたる2008年度中に、関連学会等において報告し、論文として成果をまとめる予定である。 他方、(1)の研究テーマについては、(1)1944年の日本育英会の創設と戦後教育制度下での位置づけ、(2)1958年の特別貸与奨学金制度の創設、(3)1984年の有利子貸与奨学金制度創設過程、(4)1999年の有利子貸与奨学金の抜本的拡充という個別の政策転換を分析していくための基礎資料の収集と分析をすすめた。(3)の研究テーマについては、2008年度に予定している質問紙調査の準備として、各大学等が刊行している資料及びwebsiteや文部科学省、日本学生支援機構、大学団体などがおこなっている調査等を用いて、民間育英奨学団体の奨学金事業の現状について情報収集をすすめた。
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