2008 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本における奨学金制度に関する政策的・実証的研究
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19730527
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
白川 優治 Chiba University, 普遍教育センター, 助教 (50434254)
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Keywords | 奨学金 / 教育費 / 育英奨学事業 / 教育機会 / 教育行財政 / 高等教育研究 / 学生支援 / 就学援助 |
Research Abstract |
本研究では、科学研究費の交付期間において、[○!a]戦後日本における国の奨学金制度・政策の転換期における政策過程の分析、[○!b]地方自治体による奨学金制度の実証的分析、[○!c]民間育英奨学団体の奨学金事業の実証的分析の3点を具体的な研究課題とした。 2007年度には、戦後日本の奨学金制度・政策の転換点として、(1) 1944年の日本育英会の創設と戦後教育制度下での位置づけ、(2) 1958年の特別貸与奨学金制度の創設、(3) 1984年の有利子貸与奨学金制度創設過程、(4) 1999年の有利子貸与奨学金の抜本的拡充の政策過程を定め、その政策過程を検証した。また、地方自治体に対して悉皆調査として奨学金事業に関する質問紙調査を実施した。 2008年度は、2007年度に実施した地方自治体(市区町村)調査を分析し、結果を関連学会で報告することによりに地方自治体が行っている奨学金事業の現状と課題を明らかにした。また、奨学金事業にとどまらず、就学援助制度も分析対象に含め、2005年度の国の制度変更とそれに対する地方自治体の動向を検証することで、義務教育から高等教育まで一貫した視点により教育費問題の問題提起を行った。さらに同年度には、民間育英奨学団体の奨学金事業の実態を把握するための質問紙調査を実施すると共に、2008年秋以降の景気悪化状況を踏まえて地方自治体(市区町村)に対する第2次質問紙調査(悉皆調査)を実施した。民間育英奨学団体への調査からは、これまで具体的に把握されてこなかった、民間育英奨学団体の事業を実証的に明らかにしたとともに、2009年に行われた公益法人制度改革が奨学事業団体の事業運営に影響していることが示された。また、第2次地方自治体調査では、景況の悪化に伴う影響が生じていることが明らかになった。このような2008年度の調査結果は、2009年度に関連学会での口頭報告を行うとともに、論文等で社会に公表していく予定である.
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Research Products
(3 results)