2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパ諸国におけるムスリムの教育問題への取り組みと日本の学校教育の将来性
Project/Area Number |
19730531
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
丸山 英樹 National Institute for Educational Policy Research, 国際研究・協力部, 研究員 (10353377)
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Keywords | 教育社会学 / 比較教育学 / イスラーム教育 / 移民教育 / トルコ / ソーシャル・キャピタル / 持続可能な開発のための教育 / ESD |
Research Abstract |
本研究の目的は、異なる背景を持つ外国人等の児童生徒、特にイスラーム教徒(以下、ムスリム)に対する国際的な観点から見た学校教育と支援システムについて、欧州の事例を参考にしつつ、日本独自の教育の可能性を探求することである。文献調査と聞き取り調査により、イスラーム教育の概念整理、国内外のムスリムに関する教育問題の実態を把握し、学校と外部組織の連携について情報収集及び体系化を行う。 本年度は、まず主にホスト国における教育と社会のあり方について研究を行った。幅広い学びによって社会が持続可能となるという視点から、社会関係資本論を用いて、教育と社会における「異文化」を持つ者同士の連携が重要であることをまとめた。特に欧米の文献から多くの示唆を受けた。 他方、欧州におけるムスリム移民の多数派であるトルコの教育政策および移民の状況について調査研究を行った。EUの教育政策との関係、EU諸国内のトルコ移民の教育と生活等、文献調査と聞き取り調査を行った。本研究代表者は第13回世界比較教育学会においてその成果を発表すると同時に、翌年度に向けた調査の調整を行った。さらに国内外の専門家から助言を受け、翌年度のドイツとスウェーデン現地聞き取り調査の枠組みをほぼ完成させた。 世界規模の知識社会や「ニューエコノミー」と称される社会の動きが個人の教育や信条に強く影響激しくなる時代において、教育が扱うべき課題はこれまでの環境問題の枠組みにとどまらない持続可能性である。ムスリムが少数派として生活する社会においても同様である。ホスト国と出身国の社会改革が連動しているトルコ人移民の場合、自らの存在や所属する集団を持続可能にするためには、教育が重要な鍵であり、それを対象とした教育研究は事例研究以上の意義がある。
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Research Products
(4 results)