2008 Fiscal Year Annual Research Report
小・中・高一貫性に基づく歴史教育カリキュラム開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
19730532
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山田 秀和 Hirosaki University, 教育学部, 准教授 (50400122)
|
Keywords | 教育学 / 社会科教育 / 歴史教育 / 小・中・高一貫 / カリキュラム / アメリカ / 授業構成 |
Research Abstract |
1. アメリカにおける小・中・高一貫社会科カリキュラム改革の動向調査 アメリカ各州の社会科スタンダードを収集・分析し, 大きく二つの潮流を見出した。一つは, 歴史教育の社会科からの分化的傾向が見られるものである。もう一つは, 歴史教育の社会科への統合的傾向が見られるものである。一般的に, 前者の場合, 歴史教育(特に自国史教育)は独立性が高く, 小・中・高で数回繰り返しを行うように構成される(たとえば小・中・高で現代までの歴史を3回繰り返し, 同じ時代・事象を重複して学習させる)。後者の場合, 歴史教育は独立性が低く, 原則的には繰り返しをせずに社会科全体の中に有機的に位置づけられている(時代・事象の重複を避け, 社会科全体との調和が図られている)。 2. 小・中・高一貫性に基づく社会科・歴史教育の分析 (1) 分化的な傾向が見られるニューヨーク州を事例として, そのスタンダードに基づく社会科を分析した。歴史教育に着目して分析したところ, 小学校段階=過去と現在の関連づけとしての歴史教育, 中学校段階=学際的な社会研究としての歴史教育, 高等学校段階=過去の評価・問い直しとしての歴史教育, として組織されていることが明らかになった。小・中・高で歴史教育(自国史教育)を繰り返す際の連続性と発展性が明確になり, 示唆を得ることができた。 (2) 統合的な傾向が見られるオハイオ州を事例として, そのスタンダードに基づく社会科を分析した。オハイオ州社会科のカリキュラム構成の分析は前年度に行ったので, 本年度は, 小・中・高の授業構成における基本原理を解明した。分析の結果, 学校・学年段階の上昇に応じて, 授業を, 事実学習→解釈・理論学習→価値・思想学習へと発展させる, という方法論を抽出することができた。小・中・高一貫性の論理を授業構成レベルまで踏み込んで明確にすることができた。
|
Research Products
(2 results)