2009 Fiscal Year Annual Research Report
小・中・高一貫性に基づく歴史教育カリキュラム開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
19730532
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山田 秀和 Okayama University, 大学院・教育学研究科, 准教授 (50400122)
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Keywords | 教育学 / 社会科教育 / 歴史教育 / 小・中・高一貫 / カリキュラム / アメリカ / 授業構成 |
Research Abstract |
1. 小・中・高一貫性に基づく社会科・歴史教育の分析 本年度は,「開かれた社会認識形成」という視点から小・中・高のカリキュラムの連続性を考察するために,M.A.ラフリンとH.M.ハートニアンの社会科モデルを分析した。この社会科は,NCSS(全米社会科協議会)が提示した10のテーマをもとに編成されている。また,学年段階による区分は,初等前期「世界に対する私の位置づけ」,初等後期「私の世界の地平を拡大する」,中等前期「異なる視点から世界をみる」,中等後期「変化しつつある世界で豊かな市民性を身につける」となっている。分析の結果,このカリキュラムは,"自己-社会の関係性"の学習(初等),多様な"社会の見方"の学習(中等前期),多様な"社会の見方"をふまえた査定(事象の効果・影響の測定)の学習(中等後期),へとシフトすることがわかった。分析を通して,子どもの認識を開くための一つの方法論を明らかにした。 2. 小・中・高一貫性に基づく歴史授業モデルの構想 これまでの分析を基にして,次のような日本史「鎖国」の授業モデルを構想した。小学校では,鎖国までの歩みとその制度下の海外交流の様子を調べ,現在への影響について考えさせる。中学校では,鎖国の背後にある情報管理政策の理論を探求させ,政治的社会的な一般概念の形成を促す。高等学校では,鎖国政策の評価や,現在の鎖国論の問い直しを行わせる。以上のモデルは構想段階であるが,今後,具体化し実践へと結びつけたい。 3. 研究の全体総括と課題 本研究では,「分化と統合」「開かれた社会認識形成」を視点にして小・中・高一貫の社会科にアプローチし,歴史教育カリキュラム開発への示唆を得た。しかし,具体的なカリキュラム・単元・授業の開発には至っていない。今後の研究課題としたい。
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Research Products
(1 results)