2009 Fiscal Year Annual Research Report
知識基盤社会における読書力を評価するミクロ・レベル・テスト及び質的分析手法の開発
Project/Area Number |
19730533
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
足立 幸子 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30302285)
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Keywords | 読書力 / パフォーマンス評価 / Benchmark Assessment / 国際児童文学 / ミクロ・レベル・テスト / 質的分析 / 国際情報交換 / アメリカ・スペイン・オーストラリア |
Research Abstract |
本研究では、これまでの調査を踏まえてアメリカやオーストラリアの学校教育の様々な場面で用いられているミクロ・レベル・テストとして、ベンチーマークアセスメントに着目してきたが、本年度は、そのうちの一つ、The Fountas & Pinnell Benchmark Assessment Systemを分析した。これは、読書力のレベルを表すベンチマーク(指標)に対応する本があり、子供がその本を読んで教師の質問に答えていくもので、その本を読むに足る能力があるかを測定する評価である。個々の子供の読書力を診断して、その能力に応じた指導を行うという構造を、研究することができた。 知識基盤社会における読書力と言った場合に、重要なのは何度も読んで味わうことではなく、最初にさっと読んで内容を把握し、必要な行動をとることを行う「初読」である。初読の過程を把握する質的分析手法を開発した。これは、読んでいる途中での反応の書き込みと、フォーカス・グループ的な少人数での話し合いを組み合わせたもので、初読の読書の特徴を他の人との対比で教師も生徒自身も評価していける方法である。すでに、パイロットスタディとしての実験は終わっており、ある程度の成果が認められた。来年度は本格的な実験を行い、学会発表をする予定である。 一方で、読書指導を行っている教師自身の読書の評価にも検討が及んだ。なぜなら、教師の読書力観が古ければ、知識基盤社会における読書力を身に付けた子供を育てるのは困難だからである。読書指導の教員研修プログラムにおいて、教師の読書力観・読書指導観の評価を行い、論文にまとめた。さらに、今年度は、同じ本を複数の国の子供が読む「国際児童文学」についても、考察を行ってきている。複数の国の教師について、同じ本をどのように読みその本を用いてどのような読書指導を行うのか、比較研究を進めており、来年度研究発表予定である。
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Research Products
(15 results)