2008 Fiscal Year Annual Research Report
生涯キャリア発達を支援する就学前段階からのキャリア教育プログラムの開発
Project/Area Number |
19730538
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
河崎 智恵 Nara University of Education, 教育学部, 准教授 (50346300)
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Keywords | キャリア教育 / キャリア発達 / プログラム |
Research Abstract |
本年度は、主に卒業後のキャリア発達に寄与し得るキャリア教育について検討し、実践的なプログラムを開発した。1. 有職青年のキャリア意識に関する質問紙調査(追跡調査2006年6月実施)を分析した。その結果、暫定的決定経験は卒業後のキャリア発達に影響を及ぼすことが示された。 2. 有職青年のキャリアの諸能力に関する質問紙調査(2005年4月-8月に、22歳から35歳までの86名(男性33名、女性51名)を実施)の結果を分析した。中学校段階で暫定的決定経験を有する者は、4能力領域「人間関係」「意思決定」「キャリア情報探索・活用能力」「キャリア設計能力」の全ての得点が高かった。各能力領域と小・中学校時における暫定的決定経験にみる差異についてt検定を行った結果、小学校では「人間関係」「意思決定」「キャリア設計能力」において、暫定的決定経験のある者の方が、ない者よりも有意に得点が高かった。中学校段階では、全ての能力領域において、暫定的決定経験のある者の方が、ない者よりも有意に得点が高かった。これらの結果より義務教育段階における暫定的決定を促すことが特に必要であることが示された。3.得られた知見をもとに、中学校におけるキャリア教育プログラムを作成し、授業実践を行った。授業実践は2008年6月から7月に、A中学校の1年生から3年生の生徒356名を対象に、計9時間行った。プログラム実践の前後で、生徒に4能力領域に関する質問紙調査、および授業に対するアンケートを実施した。対象者は1年生から3年生の生徒356名(男子生徒192名、女子生徒164名)である。プログラム実施後のアンケートでは、キャリアの諸能力の得点が上昇し、多くの生徒が職業や将来について興味や展望を抱くという結果を得られたため、作成したプログラムには一定の効果が認められたと判断できる。最終的に、A中学校の現行のキャリア教育プログラムを再検討した上で、改善案を提案した。
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Research Products
(2 results)