Research Abstract |
本研究の目的は, 現在のイギリス(イングランド)では, ナショナル・カリキュラムに基づき, 学校段階に応じて, いかなる差異を設け, 歴史教育実践をおこなっているのか, をカリキュラム, 教科書, 授業実践の三つのレベルから, 複合的・具体的に解明し, 学校段階に応じて歴史教育をいかなる方略を採用して段階的に行っていくことが望ましいのか解明することであった。 2年間の継続研究の2年目として, 今年度は, 昨年度に収集した分析対象の分析, 及び成果公開を行うことにつとめた。分析の結果, カリキュラムの基本的な構造, すなわち歴史は解釈であるとの前提に立ち, 歴史に関する何らかの事実を習得・暗記させるのではなく, 特定の研究視点を設定し, その研究視点に基づいて広い視野から考察し, 偏見にとらわれることなく, 証拠に基づいた自分なりの解釈を歴史において構築できるようになること, を教育目標の根幹に位置づけ, その教育目標を実現するために, 認知心理学に基づく段階的な思考力育成を可能にする到達目標を設定し, その到達目標を学校段階に応じて段階的・漸進的に深化する研究主題として再構築し, その研究主題にもとづく研究がおこないやすいような単元を選択・配列することによって, 具体的に学習プログラムを組織していること, を解明するとともに, その実現のために, カリキュラムの構造に依拠した授業の実現を念頭に置いた教科書記述となっていること, 教科書の構成に学校段階に応じた差異性があること, 実際の日々の授業での実践においても意識されていること, その実践を補助する教材集も充実していること, 評価問題においてもその達成が問われるものとなっていること, など多角的・多面的な次元で, その実現を保証する教育となっていたことが判明した。そしてその成果を, 以下に示す2つの学会にて発表した。
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