2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730541
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
草原 和博 Hiroshima University, 大学院・教育学研究科, 准教授 (40294269)
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Keywords | 社会科教育 / 授業研究 / 授業改善 / 学習材 / 教育実践力 |
Research Abstract |
「社会科授業改善のストラテジー」を大きく2つのアプローチから体系化を図った。 第1に,現行の「優れた授業の良さ」を把握し,そこに隠れた授業づくりの方法論を定式化してゆく研究である。本アプローチでは,中本和彦の開発した学習材「インド-マクドナルドと農民の自殺-」に注目し,(1)教材研究(文献解釈)の方法と(2)発問・学習過程の組織化のストラテジーを解明することで,上のねらいを達成しようとした。本研究は,現実の教師の問題意識や実践場面を踏まえて授業改善を行う手立てを,具体的かつ帰納的に抽出できた点に意義がある。 第2に,現代の「教育課題」を受けて,それに応えるように授業を改善してゆく方法論の研究である。本アプローチでは,政策的に社会的に要請されている「法教育」の観点を,中等地理の地誌(アフリカ・ヨーロッパ)や系統地理(交通ネットワーク)の単元に組み込んだ学習材を開発することで,上のねらいを達成しようとした。本研究は,市民性教育ならびに社会科学教育の理論に忠実に授業改善してゆく手立てを,原理的かつ演繹的に提起できた点に意義がある。 3ヵ年の科研を通じて,授業改善を支援する「学習材」の有効性が明らかになった。(1)何を教えるか:contents knowledge,(2)どのように教えるか:pedagogical knowledge,(3)どういうねらいをもって,子どものどういう実態を踏まえて,何をどのように教えるか:pedagogical contents knowledge。社会科の授業改善に求められる知識とは,(1)~(3)の統合体に他ならず,これらの3点セットを個別の単元指導に置き換え,学習材に取り入れ,明示することが,教師の授業改善と子どもの社会認識ならびに学習意欲の形成に有効なことが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)