2008 Fiscal Year Annual Research Report
外国人生徒の教科学習支援の研究-中学校の学習内容理解と学習意欲の向上を促す支援-
Project/Area Number |
19730545
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
角替 弘規 Toin University of Yokohama, スポーツ健康政策学部, 准教授 (10298292)
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Keywords | 外国人生徒 / 教科学習 / 支援 / 国際教室 / NPO / 日本語指導 |
Research Abstract |
本研究の目的は1990年代から急激に増加しつつある外国人生徒の教科学習について、適切な教材の運用と支援のあり方を明らかにすることで、外国人生徒が日々直面する学習達成と進路決定の問題に解決の方途を示すことにある。従来、外国人生徒の教育問題については日本語指導や適応教育に関心の重点が置かれてきた。しかし外国人生徒の滞在が長期化し、かれらの進学・就職問題が現実問題として生じつつある中で、日本語指導の問題にしても適応指導の問題にしても、外国人生徒自身の教科学習の問題を根本的に解決することが極めて重要であると考えられる。こうした問題に対しては、単なる教材開発だけでなく、かれらの学習をいかに支えるのかという観点から検討する必要がある。本研究では東京都町田市において活動するNPOの学習会と神奈川県大和市の公立小学校の国際教室においてフィールド・ワークを行いながら、外国人生徒の教科学習の様態について考察した。 東京都町田市のNPOは、週1回学習会を開催しており、そこに学ぶ子供たちは進路選択(特に中学卒業後)に対して大きな困難を抱えている場合がほとんどである。そうした困難に対して日本からの「離脱」を選択する生徒や、学習1内容が理解できていると「装う」ことで問題の回避を図ろうとする生徒が見られた。そして、こうした生徒たちの選択に対して、当のNPOの対応には一定の限界があることが明らかになった。今後外国人生徒の学習環境を整えるという観点からは今後学校やNPO間の連携が求められる。 中学校の学習内容理解という観点から、小学校における基礎の定着は欠かせない。そのため今年度は特に小学校における外国人児童の学習についても注目し、そのためのフィールド・ワークも行った。外国人児童生徒に対する対応は学校によって極めて多様で、日本語指導を目的とした国際教室の位置づけも多様である。ある大和市公立小学校の国際教室は当初極めて周辺的なものであったが、国際教室担当者の働きかけによってそのあり方が大きく変わることが明らかとなった。しかし、学校においても外国人児童生徒の学習環境は不十分で、教材やカリキュラム開発において依然として多くの課題を抱えていることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)