2008 Fiscal Year Annual Research Report
現代アメリカの道徳教育論における幸福に関する基礎的研究
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19730546
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
龍崎 忠 Gifu Shotoku Gakuen University, 教育学部, 准教授 (80340389)
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Keywords | 道徳教育 / 幸福 / ケア / 希望 / 人間の生存と成長 / 批判的思考 / 臨床教育学 |
Research Abstract |
本研究は、アメリカの教育学に近年の動向において散見される、悲劇や受苦から幸福を構想しようとする道徳教育について注目し、それらについての基礎的な理解を中心にして、幸福をテーマとする道徳教育論を再構成しようとするものである。 本年度は、悲劇的な経験の再構築という視点から幸福を射程に入れた道徳教育の構想を果たした昨年度の研究を受けて、悲劇からの恢復をもう1つ別の観点、すなわち希望と道徳教育との関係を明らかにすることを主たる課題として研究を展開した。より具体的に言えば、ジョン・デューイの『人間性と行為』で示された人間の生存と成長のプロセスを、希望という観点において再検討することを試みた。近年のアメリカの道徳教育論で展開されるもののうち、スティーブ・フィッシュマンとルシール・フィッシュマンの2007年の共著『デューイと希望の哲学・希望の実践』は大いに参考になった。これらの成果は、学会の全国大会の場で口頭にて報告した。雑誌論文という形での成果の発表としては、本年度内には〆切の都合などでうまくタイミングを得られなかったけれども、本研究での課題は引き続き発展的に取り組まれるものである。 このような人間形成と道徳・幸福の関係を基礎的な理論構築として探究するという課題は、副次的に臨床教育学の展開について一定の成果を挙げることができた。共著「現場創造の臨床教育学』(明石書店、2008年)において、「新任教師へのケアと臨床教育学」と題した論文で、教師としての幸福な生を送ることは、道徳的にきわめて深い意味をもつものであると論じた。
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