2007 Fiscal Year Annual Research Report
ろう児に対する手話を活用した日本語リテラシー習得支援に関する研究
Project/Area Number |
19730559
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
武居 渡 Kanazawa University, 教育学部, 准教授 (70322112)
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Keywords | 日本手話 / 評価 / テストバッテリー / リテラシー / ろう児 / 手話力 |
Research Abstract |
ろう児に対して手話を活用した日本語習得支援を行う際、まず対象となるろう児の手話力と日本語力のアセスメントが重要になる。しかし、わが国にはろう児の手話力を評価できるテストバッテリーは存在しない。そこで、平成19年度は、ろう児の日本手話能力を評価するテストバッテリーを試作することを行った。わが国のろう学校で実際に使用するには、子どもの手話力を容易に評価でき、また評価を行う側に高い手話力や手話言語学の知識を必要としないテストの作成が求められる。イギリス手話理解テスト(Assessing British Sign Language Skills Development)がその条件を満たすものであったため、そのテストの作成者であるHerman氏を訪問し、ロンドンで資料収集と調査を行った。得た資料をもとに、日本手話ネイティブのろう者の協力を得て、日本版日本手話理解テストを試作した。その際、日本手話独自の文法項目や表現などを付け加え、47問からなるテストバッテリーを作成した。テストは、手話表現をビデオ収録したDVDと手話表現にあった絵が複数描かれた選択肢からなる。 このテストは、30分程度で実施でき、またテスト終了後、すぐにスコアリングが可能であるため、学校現場で使用しやすいものになった。 試作したテストは、2つのろう学校に在籍する3歳から12歳まで88名のろう児に実施し、個人差は非常に大きかったものの、3歳から9歳頃までは年齢に比例して獲得得点が上昇する傾向が見られ、9歳頃までの手話力を測定するテストとして使用可能であることを明らかにした。
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