2008 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国におけるインクルージョン教育の実践理論と教授モデル
Project/Area Number |
19730560
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉利 宗久 Okayama University, 大学院・教育学研究科, 准教授 (60346111)
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Keywords | インクルージョン教育 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
インクルージョン教育の実践が世界的な趨勢となっている。一方で、障害のある子どもが通常教育の枠組みのなかで適切な教育成果をあげるための効果的な取り組みの検討が求められている。本研究は、インクルージョン教育の実現に向けて先駆的な取り組みを展開してきたとされるアメリカ合衆国を研究対象として、その実践に不可欠となる基盤的理論と教育条件の検討を行うものである。初年度には、インクルージョン教育を支える学校システムと実践的対応に注目し、関連する第一次資料の収集、分析を中心に行った。とりわけ、学校におけるインクルージョン実践に関する検討の基盤として、州レベルでの教育行政の動向を明らかにすることを試み、関係機関における資料収集および聞き取りを行った。また、インクルージョン教育の進展に重要な存在である障害のある子どもをもつ親へのインタビュー調査の結果を分析し、学校に対するニーズと課題を検討した(学術論文として公表済み)。それらの成果に基づき、2年次(本年度)にはより実践的な視点に焦点化した検討が必要であるとの立場から、初等学校のインクルーシブ教育に関する現状と課題を明らかにすることを意図し、質問紙を用いた追跡調査の分析・検討を進めた。その結果の一部は学会において発表したが、インクルーシブ教育に対する教育関係者の意識が時期的に肯定的な変化を示した。しかしながら、それらの変化に直接的に作用した背景要因を究明する必要があり、最終年度の検討課題として位置づけている。
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