2008 Fiscal Year Annual Research Report
幼稚園における慢性疾患患児の支援ニードの明確化と支援モデルの構築に関する研究
Project/Area Number |
19730561
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片山 美香 Okayama University, 大学院・教育学研究科, 講師 (00320052)
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Keywords | 公立保育園 / 慢性疾患 / 保育 / 保護者 |
Research Abstract |
【目的】 A市内の公立保育園における慢性疾患患児の保育の実態を調査し、慢性疾患患児をめぐる保育の現状と課題について明らかにすることを目的とした。 【調査方法】 各園の担任保育士を対象に、慢性疾患患児の保育について問う質問紙を作成した。質問紙の配布は、園長宛に各年齢の担任保育士の調査への協力を依頼した文章を付して質問紙を5部ずつ入れて送付した。全54園で、270部の質問紙を配布した。 【結果】 全54園中45園(回収率83.3%)、198人の担任保育士から回答が得られた(回収率73.3%)。回答が不完全であったデータ4人分を削除し、194人分のデータを分析対象とした。担任クラスに1人も慢性疾患患児が居ないと回答したのは34人(17.5%)であった。在籍人数の最も多かった疾患は、「食物アレルギー」で58.1%、次に「喘息」で42.5%、「アトピー性皮膚炎」で39.4%と続いた。 次に、担任している具体的な1事例に関する回答(160人分)を分析した結果を示す。担任をしている患児の症状に関する理解度について5段階評定を求めたところ、132人(82.6%)が理解できていると回答した。59人(36.9%)の保育者が「保育上、不安なことがある」と回答し、保育上の注意事項を誤って厳守できなかった場合等の緊急時の対応への不安が見てとれた。疾患ゆえの制限などにより他児と同様のことができないなどのストレスを抱えた子どもに関して、57人(35.6%)の保育者が子どもの心理社会的発達に影響があると回答しながらも、疾患との兼ね合いでやむを得ない事柄でもあり、保育上の課題として残されていた。また、保護者の要望に全面的に応じる努力をしつつも、過度と思える保護者からの要望にどこまで応じるべきかなどの葛藤を抱えつつ保育にあたっている現況が明らかになった。疾患に対する十分な理解をふまえたうえで、最大限に子どもの発達を促す保育のあり方の摸索が課題として示された。
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