2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経心理学的検査による軽度発達障害の新分類とその活用による教育的支援の考案
Project/Area Number |
19730564
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
加戸 陽子 Kansai University, 文学部, 専任講師 (10434820)
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Keywords | 神経心理学 / 発達障害 / 特別支援教育 / 医療機関連携 / 小児神経学 / Wisconsin card sorting test |
Research Abstract |
本研究は神経心理学的検査による注意欠陥/多動性障害および広汎性発達障害などの各種発達障害をともなう子どもの認知特性把握および支援の検討を目的とするものである。 本年度は服薬状況を統制した被検者を対象として知能検査およびKeio版Wisconsin card sorting test (KWCST)を実施し、診断分類等の資料にもとづき検査成績の分析を行った。IQ80以上の6〜14歳の広汎性発達障害群(n=28)に関し、アスペルガー障害群と特定不能の広汎性発達障害群の2群に分類レ、KWCSTの成績の比較検討を行った。その結果、アスペルガー障害群において本検査の第2段階での成績の改善が認められ、特定不能の広汎性発達障害群では改善が認められなかったことから、サブタイプ間での認知特性の違いを示唆するものと考えられた。このことより、今後も引き続きデータを集積し、各種発達障害間およびサブタイプ間での認知特性に関するさらなる検討が重要と考えられた。 また、発達障害によって生じる諸困難の客観的な評価に有用と考えられる各種神経心理学的検査についての概観を行い、さらに、注意欠陥/多動性障害、広汎性発達障害およびその他神経疾患をともなう子どもへの諸検査の臨床応用にもとづく教育的支援についての検討も行った。その結果、従来の標準的評価手法のみでは十分に捉えきれない要素に関する各種神経心理学的評価の重要性が示され、特別支援教育における神経心理学的検査による実態把握の臨床的意義についての報告も行った。
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