2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740013
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前野 俊昭 Kyoto University, 工学研究科, 講師 (60291423)
|
Keywords | 旗多様体 / 鏡映群 / Hopf代数 |
Research Abstract |
平成20年度は主に次の二つのテーマに関して研究を行った。(1)鏡映群から定まるNichols-Woronowicz代数の表現と余不変式環のモデル。(2)鏡映群の余不変式環のLefschetz性。(1)に関しては、一般の複素鏡映群の余不変式環のモデルをNichols-Woronowicz代数を用いて構成した。この結果はBazlovによる有限Coxeter群の余不変式環のモデルの構成の拡張になっている。最近、BazlovとBerensteinは複素鏡映群の有理Cherednik代数をbraided doubleを用いて構成しており、我々の結果は彼らの研究でも言及されている。この方向の研究は複素鏡映群に対するSutherland模型等、可積分系の理論とも関係が深いと思われる。また、ワイル群から定まるNichols-Woronowicz代数に対して差分商型の作用素が定める表現を研究し、ある種の楕円関数が現れることを示した。この研究の動機の一つに楕円Dunkl作用素の理論があるが、我々の研究した二次代数の中でDunkl元が満たす関係式として旗多様体の量子コホモロジー環の定義関係式と非常に近いものが現れる点は興味深い。(2)については等質空間のコホモロジー環や有限Coxeter群の余不変式環に対してLefschetz元の集合を決定した。等質空間のコホモロジー環の場合には、豊富性の判定という幾何的な結果を用いることが出来るが、非結晶的なCoxeter群の場合には旗多様体の幾何を用いることが出来ないためPieri型の公式に基づいて計算機を用いた計算を行った。その後、より一般にArtin的なGorenstein代数に対してLefschetz性の判定条件を得ることが出来たが、その観点からすると鏡映群の余不変式環のLefschetz元の決定の問題は、余不変式環のharmonicsとしての記述や差積のHessian等と密接に関わっていることが分かった。
|
Research Products
(2 results)