2008 Fiscal Year Annual Research Report
剰余モジュラーガロア表現の普遍変形環と普遍モジュラー変形環の同型問題
Project/Area Number |
19740019
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
山上 敦士 Kyoto Sangyo University, 理学部, 准教授 (00440876)
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Keywords | p進保型形式 / ヘッケ環 / ガロア表現 |
Research Abstract |
平成20年度の実績として, 無限な傾きをもつ楕円的固有形式のp-進解析的な無限族を構成する問題を解決する手立てとして期待されていた, 適当な実二次体への基底変換の理論と私自身の論文"Onp-adic families of Hilbert cusp forms of finite slope"(Journal of Number Theory123(2007)pp.363-387)で構成された有限な傾きをもつヒルベルト固有形式のp-進解析的な無限族の構成理論を組み合わせる方法が, うまく機能しないことを証明できたことが挙げられる.この成果については, 論文"Onp-adic families of eigenforms of infinite slope"としてまとめたが、さらに研究が進むまで出版は見合わせたいと考えている. 無限な傾きをもつ楕円的固有形式のp-進解析的な無限族の構成問題は, 剰余モジュラーガロア表現の変形空間のp-進解析的多様体としての性質を研究するうえで, 非常に重要な役割を果たすと考えられており, Kisin氏やEmerton氏といった専門家たちによっても, 長年にわたり追及されてきたが, 未解決のままとなっている問題である. 上述したように専門家のあいだで有効と思われてきた手法は機能しないことを証明できたことに加え, 今年度の研究のもう一つの成果としては, 国内外の研究集会に参加しながら専門家と幅広く研究打ち合わせをし, また整数論の専門書を購入し研鑽を深めることで, 上述の手法とは全く異なるアイデアを入手できたことが挙げられる. 今後は, このアイデアを基盤に研究を押し進めて, 普遍変形空間の幾何的性質を掘り下げる一助としてまいりたい.
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