2007 Fiscal Year Annual Research Report
射影埋め込みによるラグランジアンファイブレーションの研究
Project/Area Number |
19740025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野原 雄一 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (60447125)
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Keywords | 幾何学 / 幾何学的量子化 |
Research Abstract |
シンプレクティック多様体の完全可積分系,より一般にラグランジアンファイブレーションについて研究している.この構造は幾何学的量子化やミラー対称性などで重要な役割を果たすが,特異ファイバーの存在などの理由で一般には調べるのが難しい.そこで多様体をトーリック多様体などのラグランジアンファイブレーションの構造が分かりやすい多様体に埋め込んだり退化させることにより,それを調べている.平成19年度からは旗多様体のGelfand-Cetlin系と呼ばれる完全可積分系について研究している.旗多様体もトーリック多様体に退化することが知られている.今年度はGelfand-Cetlin系がそのトーリック退化でトーリック多様体の標準的な完全可積分系(トーラス作用の運動量写像)に自然に変形されることを示した.Gelfand-Cetlin系は,特に複素構造との関わりという点からはあまり扱いやすくないため,この結果はGelfand-Cetlin系と複素幾何的な対象や表現論などとの関係を調べるのに役立つと期待される.その応用の一つとして,現在は大阪大学の植田一石氏と東北大学の西納武男氏と共にミラー対称性への応用を考えている.今のところラグランジアンファイブレーションの立場からミラー対称性が調べられているのは,Fanoと呼ばれるクラスではトーリック多様体だけである.旗多様体もミラー対称性で重要な例であるので,この場合にトーリック多様体の結果が拡張することは,より一般の場合を理解するためのステップになると思われる.
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