2007 Fiscal Year Annual Research Report
ホモトピー代数の幾何学、及び幾何学の変形問題への応用
Project/Area Number |
19740038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梶浦 宏成 Kyoto University, 数理解析研究所, 研究員(COE) (30447891)
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Keywords | ホモトピー代数 / 位相的弦理論 / Dブレイン / 三角圏 / 複素構造 |
Research Abstract |
ADE型を含むあるクラスの特異点に対して,A∞圏と,そのコホモロジーとして三角圏を構成することができる.特異点がADE型の場合には,対応する三角圏のグロタンディーク群としてADE型のルート系が得られることが知られている.本年度は,ADE型の一つ超えたクラスの特異点に関して同様の議論を行うことにより,それらの特異点に付随する新しいクラスのルート系(のカルタン行列)を構成できることを示し,論文としてまとめた. 一方,深谷圏のA∞構造の具体的構成の初めの例である,前年度にまとめた平面上の直線達の成す深谷A∞構造に関して,その構成法の背景となるより一般的な設定における同様のA∞構造の構成法の概略について,前年度にパリで行われた研究会のプロシーディングとして出版される予定の論文にまとめた.さらに,平面上の直線達の成す深谷A∞圏の構成は,それのもともとの動機の一つであり,本年度の研究計画の一つであったトーラス上の深谷A∞圏の構成に応用することができる.この場合,これを構成することは同時に,コンセビッチによるホモロジー的ミラー対称性予想のトーラスの場合を肯定的に解決する.これらのことは,実は非可換2次元トーラスのホモロジー的ミラー対称性の特別な場合として捕らえることによって示される.この詳細は現在準備中であるが,概要を今年度行われた作用素環論の研究会で講演し,そのプロシーディングとして出版される予定の論文にまとめた.そこでは,今後の研究計画に含まれる高次元非可換トーラスとそのホモロジー的ミラー対称性に関する問題に関しても,現時点で可能な最も統一的な形でまとめた.
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