2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740051
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 浩一 Kyushu University, 大学院・経済学研究院, 准教授 (30380687)
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Keywords | 流動性 / 数理ファイナンス / 金融工学 / 投資問題 / デリバティブ |
Research Abstract |
本年度は確率的取引時刻を用いて,以下の投資問題とデりバティブヘッジ問題の研究を行なった。 1.ポートフォリオインシュアランス問題(資産下限制約付き最適投資問題)に取り組み,最適投資戦略,資産成長率の特徴付けを行なった. 資産下限制約は短期的には資産成長率に悪影響を及ぼすが,長期的にその影響は緩和し,極限において無視することができる.このことを資産成長率の漸近的な挙動の理論的解析と数値シミュレーションによる検証によって示した. 2.離散時刻におけるデリバティブヘッジ問題に取り組み,最適ヘッジ戦略,最適初期コスト,最適初期ボートフォリオを明らかにした. 確率的取引時刻の場合,デリバィブの完全ヘッジは困難であり,ヘッジ誤差の評価が必要である.本研究ではヘッジ誤差を平均二乗の意味で評価し,適当な条件の下でヘッジ問題がヒルベルト空間上の射影問題と捉えられることを示した.このことを用いて,最適ヘッジ戦略の存在を示し,再帰的な式による表現を与えた.また,符号付測度を用いて最適初期コストと最適初期ポートフォリオの自然な表現を得ることに成功した.本研究は従来の結果の一般化であり,特別な場合として離散確定時刻ヘッジ問題や静的ヘッジ問題を含んでいる. 3.確率的取引時刻のモテルを別の視点から見ると,各時刻において取引執行が成功,失敗の2状態のどちらかになるモデルと考えることができる.取引執行の部分的な成功を考慮することはモデルの自然な拡張である.この拡張モデルによるデリバィブヘッジ問題の研究に着手した.
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Research Products
(7 results)