2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740054
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
坂川 博宣 Keio University, 理工学部, 助教 (60348810)
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Keywords | 相転移 / 相分離界面 / Gibbs測度 / エントロピー的反発 |
Research Abstract |
例えばO度における水と氷といったような相転移が起きている状況で現れる異なる二相を分離する境界面の確率モデルとして▽φ界面モデルを取り上げ,特に界面と壁との相互作用に関するエントロピー的反発の問題に関連して界面の上下に壁を置いたもとでの場の性質についての研究を行った. ▽φ界面モデルでは系の平衡状態を表すGibbs測度は相互作用ポテンシャルが2次関数の場合はd次元格子上の零質量Gauss場として与えられ長距離相関を持つことが知られている.以前に行った研究によって系がGauss的で高次(3次元以上)の場合においては界面が上下の壁の間にとどまるという事象の実現確率の精密な評価が得られていたが,これに1970〜80年台に場の理論の研究で開発された相関関数に対するBrydges-Frohlich-Spencerのランダムウォーク表現や各種の相関不等式およびピン止めランダムウォークの多重点の評価を用いることによって,上下に制限を加えた場合は場の相関関数が指数的減衰をすることを示し,更に壁の高さを無限大とする極限を取った場合について場の相関長(correlation length)およびふ散の正確な漸近挙勲を得た.これらはBricmontらによって得られていた発見的な議論による荒い評価の数学的に厳密な証明を与え,かつその精密化になっている. また系がGauss的で2次元の場合についても分散の精密な評価と相関関数が指数的減衰をすることが証明できたが相関長の漸近挙動についてはまだ上下からの荒い評価のみしか得られていない.これに関しては研究を継続することとした.
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