2007 Fiscal Year Annual Research Report
変分解析による逆関数定理の展開と最適化問題への応用
Project/Area Number |
19740059
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
関口 良行 Kwansei Gakuin University, 理工学部, 契約助手 (50434890)
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Keywords | 非線形関数解析 / Variational Analysis / 逆関数定理 / Metric regularity / Lyusternikの定理 / 最適化理論 |
Research Abstract |
1.[連続写像が定義する集合に対する法線ベクトルの公式] ある集合上の最小化問題の解を求めるには,その集合に対する法線ベクトルを求めることが鍵となる.本研究では制約式の距離正則性に注目し,ユークリッド空間上の連続写像によって定義される等式,不等式系の解集合に対する法線ベクトルの公式を与えた.連続最適化問題において,最小限の仮定である連続性のみで公式を得たことに意義があると考える.証明には主に劣微分の計算を用いている. 2.[正則性のモジュラスの等式評価] Banach空間上の写像が距離正則性を持つ場合に,その「良さ」を表わす量,正則性のモジュラス(Modulus of metricregularity)が定義される.本研究では初めて不等式系に対する正則性のモジュラスの等式評価に成功した.証明に際して,既存手法の限界を具体的な反例をあげることで示し,同値ノルムの列を考慮することが鍵となった. 3.[平均競合比を用いた通貨交換問題に対する新しいアルゴリズムの開発] オンラインアルゴリズムの基本問題である通貨交換問題に対して,変分法を応用し効果的なアルゴリズムを求めた.既存アルゴリズムの弱点を補うために,問題をL^1空間上の最適化問題として新たな定式化を行い,不連続な最適解(アルゴリズム)を解析的に求めることに成功した.また従来の結果との関係を調べるためゲーム論的な考察から,ミニマックス問題を考え,その鞍点(関数と分布の組)も解析的に求めた.本研究では,変分法によるアルゴリズム開発の可能性を示唆している点が意義深いと考える.
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Research Products
(5 results)