2008 Fiscal Year Annual Research Report
ある種のスペクトルを保存するBanach環上の作用素とその安定性
Project/Area Number |
19740063
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
三浦 毅 Yamagata University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (90333989)
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Keywords | 関数解析学 / Banach環 / スペクトル保存 / 摂動と安定性 |
Research Abstract |
可換Banach環上の環準同型写像の構造について次の結果を得た. まず可換Banach環の間の環準同型写像が全射であるとき, それは線型部分, 共役線型部分さらに不連続部分に分割されることを示し, 全射環準同型写像の構造を解明した. この表現により, 正則な可換Banach環の環準同型写像による像となる可換Banach環は, 自動的に正則であることが得られた. 特に円板環などの解析関数の成す環は, 正則な可換Banach環の環準同型写像の像とはなりえないことが分かる. さらにコンパクトAbel群上のL^P空間は極大イデアル空間が無限連結集合となる可換Banach環の環準同型写像による像とはならないことも示された. これらはMolnar及びTakahasi and Hatoriの結果の精密化である. 摂動とその安定性に関する問題については, 開区間上の複素数値関数に対する微分方程式y'(t)=h(t)y(t)がGerの意味で安定性をもつための必要十分条件を関数hの言葉で与えた. さらにy'(t)=h(t)y(t)が安定性をもつとき, 安定性に関する定数が定まるが, その定数が最良であることも示した. またHilbert. 空間上の自己共役作用素及び正規作用素に対するHyers-Ulam-Rassiasの意味での安定性を考察し, 近似的な自己共役作用素及び正規作用素は真の自己共役作用素, 正規作用素であることを示した. 一方でHyers-Ulamの意味においては, 自己共役作用素の安定性が成り立たない例を与え, 正規作用素に対しては安定性がないことを証明した.
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