2008 Fiscal Year Annual Research Report
コロンボの理論を用いた不連続な係数を持つ一階双曲型方程式の研究
Project/Area Number |
19740067
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
出口 英生 University of Toyama, 理工学研究部(理学), 講師 (30432115)
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Keywords | 一階双曲型方程式 / 一般関数解 / 正則性 / 特異性の伝播 / 一意性 |
Research Abstract |
不連続な係数を持つ一階線形双曲型方程式に対する初期値問題のColombeauの意味での一般関数解を研究した。不連続な係数のため、この方程式において超関数の積が現れる。よって、一般に、超関数の空間の枠組みにおいてこの方程式に意味を与えることはできない。他方、Colombeauの一般関数の空間は、超関数の空間を含む微分多元環であるので、たとえ係数がColombeauの一般関数であったとしても、この方程式の解の概念はColombeauの一般関数の空間の枠組みにおいて意味を成す。これが、不連続な係数を持つ一階線形双曲型方程式の研究にColombeauの一般関数の理論を用いる理由である。 方程式が保存則の形で表せる場合、たとえ超関数解が存在したとしても、一般に解は一意ではない。しかしながら、このような方程式は一意な一般関数解を持つ。この一見、不可思議な現象の解明を試み、ある係数と初期値の場合において次のような結果を得た : 任意の超関数解に対して、それにassociateする一般関数解が存在する。これは、一般関数の空間において、全ての超関数解を、それぞれ異なる一般関数解とみなすことができるということを意味する。 また、Colombeauの一般関数の空間のある部分多元環を導入し、この部分多元環を用いて一般関数解の正則性、特異性の伝播を研究した。特に、ある不連続な係数の場合において、初期値の原点における特異性がどのように伝播するかを詳しく考察した。さらに、一般関数解がassosiateする超関数の具体的な形を求めた、すなわち、一般関数解が超関数の情報のレベルでどのように振舞うかを調べた。
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