2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740069
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小原 功任 Kanazawa University, 金沢大学・自然科学研究科, 助教 (00313635)
|
Keywords | 超幾何関数 / 微分差分方程式 / 計算数学 |
Research Abstract |
本課題の研究目的は、アペルの2変数超幾何関数および、その一般化であるロリチェラの多変数超幾何関数について、 ・ 局所的性質(微分差分方程式系) ・ 計算機代数的手法 を用いて、基本公式を導出することである。今年度は、計算機実験を通じて、アペルの2変数超幾何関数をさらに一般化した多変数超幾何関数であるA-超幾何関数について、微分差分方程式系の解と見做した場合に、そのホロノミック次元を与える公式を得た。ホロノミック次元は超幾何関数を理解するうえでの最も基本的で重要な情報である。A-超幾何関数の次元理論では、パラメータと変数の対等でない扱いでは、行列Aがコーヘン・マコーレー性を持たない場合に、次元のずれが発生する例がよく知られている。ところが、本課題のように微分差分方程式系によってパラメータと変数を対等に扱う場合には、コーヘン・マコーレー性を仮定せずに、ホロノミック次元が与えられること、また確定特異点型でない場合でも次元公式が成立することを示したことは大きな進歩であったと考えられる。また、アペルの超幾何関数を含むより大きな枠組の中で基本公式を得たことになる。よって本課題の研究は着実に進んでいるといえる。
|