2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740070
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊師 英之 Nagoya University, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (00326068)
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Keywords | 等質ケーラー計量 / 有界等質領域 / 等質錐 / ウィシャート分布 / ベルグマン核 |
Research Abstract |
平成21年度の主な研究内容は以下の通りである: ・開凸錐に値をとる二次形式に付随するウィシャート分布の高次モーメントを計算する一般公式を得た.一方,分解可能等質グラフに付随する錐という特殊ではあるが興味深い等質錐について考察をすすめた.これはP. Graczyk教授との共同研究である. ・有界対称領域のHua多項式の一般化を有界等質領域について定義し,具体的に計算した.すかわちn次元有界等質代表領域の正規化したベルグマン核の負ベキK^{-s}を領域上で積分した値はsのn次多項式の逆数になるという結果を得た.この計算自体は本質的に既知のものであるが,代表領域実現に着目し,結果が多項式の逆数になると認識した点は新しく,意義深い.また,積分計算についてもベレージン解析の視点から有用な一般化が得られた.これは山路哲史氏,山盛厚伺氏との共同研究である. ・等質ケーラー計量がいつ射影空間CP^N(N≦∞)のフビニ・スタディ計量の引き戻しとなるかという問題を提起し,以前の研究結果を応用して部分的な解答を与えた.これはA. Loi教授,A. J. di Scala教授との共同研究である. ・複素等質空間上の同変正則直線束の分類(パラメータ付け)の一般論と以前の研究結果を組み合わせることで,有界等質領域上の同変正則直線束のなすヒルベルト空間に自然に実現されるユニタリ表現を完全に分類した. ・等質錐の閉包の中に現れる群軌道の間の閉包包含関係を記述した.この結果は行列実現の方法の有効性を示す一例といえる.
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