2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740072
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
廣澤 史彦 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50364732)
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Keywords | 波動方程式 / 消散型波動方程式 / エネルギー保存則 / エネルギー減衰評価 / 変数係数 |
Research Abstract |
伝播速度が時間に依存する波動方程式や、変数係数の消散項を持つ弱消散型波動方程式等の、変数係数偏微分方程式に対して、特に、係数の振動と滑らかさが解の漸近挙動に及ぼす影響について研究を行った。これらに対する平成19年度の研究実績は、主に以下の2点である。 [1]波動方程式において、波の伝播速度を記述する係数が時間に関して振動する場合、それ自身が外力と立ってエネルギーを増減させる効果を持つため、方程式の解のエネルギーの漸近安定性は非常にデリケートな問題となる。従来の研究では、係数の振動量の小ささを一階導関数に対する条件のみで記述する、定数係数の摂動という立場からの考察がほとんであった。それに対して本研究では、従来は省みられなかった振動によるエネルギー増減の相殺効果を取り出すため、係数に対する″2回連続的微分可能″以上の滑らかさの仮定と、その効果を取り出す新たな手法を導入することによって、従来の手法では解析できなかった方程式の解の安定性も議論することが可能となった。この結果は、学術雑誌Math. Ann.に掲載された。 [2]弱消散型波動方程式の初期値問題のエネルギー減衰評価の問題に関して、従来の研究では、消散係数の滑らかさに関してはほとんど考慮されることがなかったが、本研究により、解析が比較的容易な単調な係数の摂動という立場から、係数の高階導関数のオーダーと、単調な係数との差のリーマン積分量で記述される摂動のオーダーが、減衰評価の記述に本質的な意味を持つことがわかった。この研究結果は、共同研究者のJ. Wirthとの共著論文として、学術雑誌J. Math. Anal. Appl.に掲載予定である。
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