2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740072
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
廣澤 史彦 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50364732)
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Keywords | 波動方程式 / 消散型波動方程式 / 発展方程式 / 変数係数 / エネルギー評価 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は、変数係数消散型波動方程式のエネルギー減衰評価、非線形波動方程式の大域可解性への応用を意識した、時間に関して特異性を持つ波動方程式の初期値問題のジェブレイ適切性、および変数係数のp-型発展方程式のC-無限適切性に関するものである。 1) 消散型波動方程式のエネルギーは、消散係数が正の場合は減少、負の場合は増加する。方程式を変数係数に一般化し、その符号が変化するモデルの場合、その漸近挙動は非常に複雑になり、従来のエネルギー法による議論では精密な評価を得ることは難しい。本研究では、特定の相空間上において、係数の滑らかさを利用した精密な解析方法を導入することにより、従来の手法では評価することができなかった、係数の符号変化に伴うエネルギーの流入出を考慮したエネルギーの減衰評価を得ることができた。 2) キルヒホフ型非線形波動方程式の大域可解性の問題への応用のため、時間に関して微分可能でない係数を持つ波動方程式の適切性の問題を研究した。係数の振動量を規定する新たな性質の導入と、微分可能性のオーダーを考慮した特定の相空間上における対角化の議論により、係数の滑らかさ・特異性・適切となるジェブレイ空間の関係を明らかにした。 3) p-型発展方程式とよばれる時間に依存する係数を持つ高階発展方程式の適切性と、係数に対する仮定の最適性に関する結果を証明した。比較的標準的な手法で証明される適切性の結果に対して、具体的な反例の構成によってなされる最適性の証明は、異なるタイプの問題に用いられてきた幾つかの手法を更に発展させたものである。
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Research Products
(9 results)