2008 Fiscal Year Annual Research Report
形状記憶合金方程式の可解性及び解の性質に関する研究
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19740079
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
吉川 周二 Ube National College of Technology, 経営情報学科, 助教 (80435461)
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Keywords | 偏微分方程式 / 相転移 / 熱弾性 / 形状記憶合金 / 調和解析 |
Research Abstract |
平成20年度は、以下の研究を行った。 まず鈴木貴氏(大阪大)との共同研究で、多次元形状記憶合金方程式の定常問題の安定性を示した。空間一次元の問題の場合について、定常問題に対応する変分汎関数が線形化安定な臨界点をもつならば、その近くの時間発展解は時間がたっても臨界点のもとを離れないという、既存の結果(Suzuki-Yoshikawa(2007)以下[SY07])がある。本研究の目的は、この結果を空間多次元の形状記憶合金方程式に応用することである。しかし多次元形状記憶合金方程式は一次元の方程式とは非線形項の形が異なる。そこで、まずは一般化した多次元熱弾性方程式を考え、どのような非線形項の方程式に対して双対変分原理を利用可能になるのかを調べてみた。その結果、この方法での安定性が得られる方程式に必要な構造がわかった。[SY07]ではエネルギーの初期値をパラメータとした定常問題を考えていたがが、非線形項を一般化した場合、エネルギー保存則は定常状態の温度について陰関数となり取り扱いが複雑になる。そこで、ここではエネルギーの初期値でなく定常状態の温度をパラメータとすることで簡潔な表現が得られ、安定性を示すことができた。ここで得られた結果はこれまで考察してきたFalk-Konopka型非線形項を持つ形状記憶合金方程式だけでなく、昨年度Pawlow氏(ポーランド科学アカデミー)とZajaczkowski氏(ポーランド科学アカデミー)と共同で研究を行った比熱が温度依存をする形状記憶合金方程式に対しても応用が可能である。また、証明には領域の有界性も必要としないため、その他の結果にも利用できることが期待される。
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