2009 Fiscal Year Annual Research Report
形状記憶合金方程式の可解性及び解の性質に関する研究
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19740079
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
吉川 周二 Ube National College of Technology, 経営情報学科, 助教 (80435461)
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Keywords | 偏微分方程式 / 相転移 / 熱弾性 / 形状記憶合金 / 弾性曲線 |
Research Abstract |
平成21年度は、岡部真也氏(岩手大学・人文社会科学部)と鈴木貴氏(大阪大学・大学院基礎工学研究科)との共同研究で、形状記憶合金ワイヤーの運動について考察した。三次元空間の中に配置された形状記憶合金ワイヤーの熱弾性変形を記述する偏微分方程式を導出したことが研究成果である。これまで主に研究が行われてきた問題は有界領域内のものであり合金の塊を対象としているが、境界条件は固定されたものであったため、解で内部変形はわかるが外から見た変形はない。一方で本方程式の解は実際に合金の形状を表しており、安定形状の決定問題などが解決すれば応用上も有効であろう。 方程式は以下のようにして導出される。ワイヤーが描く曲線は閉曲線であるとし、伸び縮みはしないと仮定する。ワイヤー状の材料を考えるため、空間変数として弧長パラメータを用いる。これらの条件のもとで導かれる歪みは初期形状にも依存する。この歪みを用いてFalk型の非線形項で形状記憶合金の相転移を表現することで、ワイヤーの形状記憶合金方程式が導かれる。これは分散型-放物型連立偏微分方程式となり、閉曲線の条件より周期境界問題となる。古典的な形状記憶合金方程式であるFalkモデルと比較すると、伸び縮みなしの束縛条件のせいで半線形ではあるが三階の非線形項が弾性プレート方程式に現れる点が特徴である。この三階の非線形項は、弾性プレート方程式をシュレディンガー方程式に分解すると、微分シュレディンガー方程式の非線形項と同等なものとなることがわかる。そのため、今後の課題である本方程式の解析はFalkモデルに比べると難しくなることが予想される。
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