2008 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー汎函数の勾配に支配される曲線および曲面のダイナミクス
Project/Area Number |
19740080
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
岡部 真也 Iwate University, 人文社会科学部, 准教授 (70435973)
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Keywords | 変分法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、適当なエネルギー汎函数の勾配に支配される曲線および曲面のダイナミクスを解明するごとである。その主な研究主題は次の二つである : 【主題1】ある束縛条件下における弾性閉曲線のダイナミス 【主題2】あるaction minimizationに関連した変分問題 本年度は主題2に重点をおいて研究を実施した。この変分問題は、閉曲線上に定義されるあるaction汎函数を初期状態と終期状態が定められた平面閉曲線族の中で最小化せよ、というものである。この問題は、対象である平面閉曲線族の初期と終期の状態を与えているため、初期値終期値問題という過去に研究成果が豊富でない問題を解析することになる。また、Euler-Lagrange方程式として得られる偏微分方程式も、発展方程式としては可解性が望めない型に属すものであり、さらにその強い非線形性も解析を困難にさせた要因であった。しかし、本年度の研究により、この変分問題について次のような成果が得られた : (1) 問題を動径対称な場合(曲線族が円からなる場合)に限ったとき、その最小解をすべて決定した (2) (1)で得た動径対称な場合のある最小解の近傍に、非動径対称な臨界点が一意に存在することを証明した まず、この結果は主題2における解析の第一歩であるから、本研究において意義のある結果である。さらに本結果は、発展方程式として可解性の望めない偏微分方程式に対して、その初期値終期値問題としての可解性を構築した一例とも言える。このような問題に関する結果は稀であり、今後、この類の問題を解析する上でも、本結果の解析手法は参考となりうる。そういった観点からも本年度の成果は意義深いものであると言える。
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