2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740084
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
竹縄 知之 東京海洋大学, 海洋工学部, 准教授 (70361805)
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Keywords | 可積分系 / 離散系 / ハミルトン系 / モノドロミー / 楕円曲面 / 力学系 |
Research Abstract |
1.ルーマニア核物理研究所のA.S.Carstea氏と共同で,有理楕円曲面上の力学系の分類を行い,これまで区別が曖昧にされていた,楕円ファイバー構造が多数の特異点を持つ場合と,力学系がファイバー構造に掌自明に作用する場合を明確に区別することができた.その副産物として,楕円曲線のファイバーを交換するものについて興味深い例を発見した.また,射影平面上の9点でブローアップしてできる有理曲面が,いつ楕円曲面になるかという問題に関して,簡明な必要十分条件を見出した.これは,9点が一つの楕円曲線上の異なる点である場合には古典的な結果であるが,そうでない場合には新しい結果である.また,Quispel-Robert-Thompsonによる力学系(QRT写像)以外にも様々な(パンルヴェとは異なり自励的な)可積分力学系が構成できることが分った.(プレプリントarXiv : 1005. 3586, Nonlinearity誌に投稿中) 2.東京大学の坂井秀隆氏,ノーザンコロラド大学のA.Dzhamay氏と共同で線形微分方程式のShlesinger変換の母関数を求めた.Shlesinger変換は線形微分方程式の解に対する変換であって,線形差分方程式の特性指数を有限値ずらすものなので互いに可換であり,方程式のレベルで見ると,非線形で可積分な差分方程式が得られる.また差分力学系において母関数は差分版のHamilton表示とみなせることも分かる.従って,上記の結果により,Shlesinger変換として得られる多くの差分系の差分版Hamilton表示が求められたことになり,離散力学系の理論への貢献が期待できる.(論文準備中) 3.「リーの理論と可積分性---解析学におけるガロアの影響」という解説記事を現代思想誌に発表した.これらの研究成果の公表のため,国内外で発表を行った.
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Research Products
(5 results)