2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740086
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野邊 厚 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (80397728)
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Keywords | トロピカル楕円曲線 / 超離散QRT写像 / 可解カオス系 / 可積分系 / テータ関数 / 加法公式 / Hesseの3次曲線 / モヂュラー変換 |
Research Abstract |
本年度は主に次の二つの研究を行った. 1. トロピカル楕円曲線を用いて超離散QRT写像の幾学的意をらかにした. すなわち, 超離散QRT写像はトロピカル楕円曲線の加法の定める力学系に他ならないことを示したまた. Abel-Jacobi写像を通して超離散QRT写像をトロピカル楕円曲線に附随するヤゴビ多様体上で線形化し, その基本周期に関する公式を導出した. さらに, 超離散テータ関数を用いて, その初期値問題の一般解を構成した, また, 凹9角形を不変曲線に関する折り返しの合成に他ならないことを示した. このような観点に立つと. Brown写像ぼあるJacobi多様体上の平行移動であることが自然に導かれ, その初期値問題の一般解が超離散テータ関数を用いて与えられる. 2. Jacobiのsn関数の公倍角公式にる1次元可解カオス写像(Schroder写像)を超難散化し, 1次元区分線形可解カオス写像を構成した. この写像はテント写像に他ならないが, それはあるトロピカル楕円曲線め倍角公式の1次元射影と見なせることを示し, その幾何学的意味を明らかにした. また, その初期値問題の一般解を超離散テータ関数を用いそ構成した. 続いて, その高次元化として, Hesseの3次曲線をトロピカル化し, その倍角公式から2次元区分線形可解カオス写像を構成した. Hesseの3次曲線の倍角写像はレベル3のテータ関数を用いて表される一般解をもつが, その一般解を超離散化することによりこの可解カオス写像の一般解を構成した. ここではテータ関数のモヂュラー変換および独立変数をうまくとることにより, 超離散化における「負の問題」を克服した.
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