2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740086
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野邊 厚 Chiba University, 教育学部, 准教授 (80397728)
|
Keywords | 解析学 / 関数方程式論 / 数理物理学 / トロピカル幾何 / 可積分系 |
Research Abstract |
本年度は主に以下の研究を行った. 1.楕円曲線の標準形の一つである,Hesseの3次曲線を自然にパラメトライズするレベル3テータ関数の加法公式を導出した.特に,その変数を特殊化して得られる倍角公式に着目し,それを用いて2次元有理写像力学系を構成した.このような力学系はその初期値問題が一般解をもつカオス力学系であることを示し,レベル3テータ関数を用いて一般解を具体的に構成した,また,この倍角公式の超離散化を通して,トロピカルHesse3次曲線の倍角公式を導出し,それに附随する区分線形写像力学系を構成した.さらに,このような力学系もその初期値問題が一般解をもつカオス力学系であることを示し,区分線形周期関数を用いて具体的に一般解を構成した.ここで用いた区分線形周期関数はレベル3テータ関数の超離散化であり,テータ関数のモジュラー変換を工夫することで,解の定性的性質を保ったままでの超離散化が可能であることを示した.これは超離散化における「負の問題」に対する一つの答えになっていると考えられる. 2.有理楕円曲面の加法に附随する力学系であるQRT写像と,その底空間としての射影空間に作用するモジュラー変換との合成で与えられる2次元双有理写像力学系について考察し,いくつかの具体例を構成した.このような力学系は一般にQRT写像よりも次数の高い保存量をもち,射影空間におけるモジュラー変換により楕円曲面の特異ファイバーの置換が引き起こされる点が特徴的である.
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] カオス系の超離散化2009
Author(s)
梶原健司, 金子昌信, 野邊厚, 津田照久
Organizer
研究集会「非線形波動研究の現状と将来」
Place of Presentation
九州大学応用力学研究所
Year and Date
2009-11-20
-
-
-
-
-