2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740087
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
町原 秀二 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (20346373)
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Keywords | 微分方程式の初期値問題 / ディラック・クライン・ゴルドン方程式 / フーリエ制限定理 |
Research Abstract |
量子力学に現われる方程式、非線形クライン・ゴルドン方程式、非線形ディラック方程式の初期値問題を研究する。特に該当問題の適切性を調査する。ここで微分方程式の初期値問題の適切性とは、(1)解の存在性、(2)解の一意性、(3)解の初期値に対する連続依存性の三つの性質のことである。 中西賢次氏、津川光太郎氏との共同研究により湯川相互作用項をもつディラック・クライン・ゴルドン方程式を空間1次元で考察を行った。この問題において初期値問題の適切性および不適切性を得た。これによりこの問題は完全に解決したことになる。負冪のソボレフ空間を扱うためにフーリエ空間上での計算が主となる。適切性については対応する積分方程式の斉次項と非斉次項に別々の関数空間を与え評価したことが成功の鍵である。非線形項の積評価は標準的なものを用いたが、初期値への制限評価も精密に与えた。不適切性については適切性の議論で得られた関数の正則度のバランスの乱れを利用した。 この結果は論文に纏めることができ専門雑誌に発表済みである。各方程式の初期値問題の適切性の問題でより低い正則度での解決は近年、国内外の研究者の間で激しい競争がある。正則度の下がった数値より当然そこに至った技術開発が重要であるがBourgainのフーリエ制限定理を用いた手法はその代表といえる。本研究も部分的にその技術を用いて行っているが、そこにより対象方程式の特徴を反映させたことが成功の鍵であり、これからの後続の研究に対する影響を考えると重要性があると考える。
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