2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740089
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
竹村 剛一 Yokohama City University, 国際総合科学部, 准教授 (10326069)
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Keywords | モノドロミー / 可積分系 / ホインの微分方程式 / パンルベ方程式 / ミドルコンボルーション / Hermite-Krichever仮設法 / 岡本の初期値空間 |
Research Abstract |
リーマン球面(複素平面+無限遠点)における線形常微分方程式の研究は歴史が長いが、可積分系との関わりなどでも頻繁に現れるものであり、現在でも重要な研究対象となっている。その解の性質はモノドロミーに反映されることが典型的である。報告者はミドルコンボルーションという操作にも興味をもっており、これを用いた微分方程式の研究も行っている。今年度は、主にミドルコンボルーションについての結果とHermite-Krichever仮設法についての結果を得た。 ミドルコンボルーションはオイラー積分変換に関連しているものであるが、これによって元の微分方程式から新たな微分方程式が得られる。また、双方の微分方程式の解やモノドロミーについても対応関係があることが知られている。SIGMAに発表した論文では、4点確定特異点をもつ二元一階微分方程式におけるミドルコンボルーションにおいて、Filipukや報告者による既知のものとは別のパラメーターによるものに焦点を当てて研究を行った。研究の結果として、ホインの微分方程式と呼ばれる単独二階の4点確定特異点型の微分方程式との関係がより明白になった。また、岡本和夫氏によって導入されたパンルベ方程式の初期値空間を線形二元一階微分方程式に対応させることで、その中でホインの微分方程式の現れ方を見れることを発見し、ミドルコンボルーションがどのような形でホインの微分方程式に現れるかを調べ上げた。これにより、二種類のミドルコンボルーションの違いと類似性が明確になった。 Math.Zeit.に発表した論文では、ホインの微分方程式にapparent特異点を付加した微分方程式に対してHermite-Krichever仮設法を発展させた。そして、特別な場合として第六パンルベ方程式におけるヒッチンの解や関連する解に対応する線形常微分方程式の解の構造を調べた。別の場合として、有限帯ポテンシャルの理論をホインの微分方程式のものから一般化し、新たな有限帯ポテンシャルのクラスを発見した。
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