2007 Fiscal Year Annual Research Report
非線形拡散方程式における進行波と界面ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
19740092
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
柳下 浩紀 Kyoto Sangyo University, 理学部, 准教授 (80349828)
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Keywords | 応用解析学 / 非線形解析学 / 放物型偏微分方程式 / 非線形偏微分方程式 / 力学系 / 進行波解 / 界面ダイナミクス / 曲率流方程式 |
Research Abstract |
非線形拡散方程式に現れる進行波、及び、界面ダイナミクスについて研究を行った。当該年度に得られた具体的な研究成果は、非局所的な拡散効果を含む単安定系の進行波解の進行速度の構造についてである。R.A.フィッシャーにより導入された、優位な遺伝形質の空間的な伝播を記述するコルモゴロフーフィッシャー方程式は代表的な単安定拡散方程式である。この方程式については、フィッシャーが導入した当初より、ある一定速度以上の進行波は常に存在し、その一定値未満の速度の進行波は存在しない、という事実が示されていた。この結果は、より一般の単安定な非線形項についても拡張できることは、比較的に容易に示すことができる。さらに、力学系として平滑化効果のある場合にも拡張可能であることが、ワインバーガーらによって示されている。ところが、平滑化効果がない場合には、空間1次元系において、非線形項、もしくは、(非局所)拡散項に特殊な仮定を置いたときに限って、同様の構造があることが示されていた。本研究では、そのような特殊な仮定を完全に廃して、平滑化効果のない場合であっても、同様の構造があることを明確に示すことに成功した。証明は、平行移動不変性と順序保存性をヘリーの選出定理と組み合わせることで不連続解の範囲で適当なコンパクト性を持っていることに帰着させることでなされる。このことは同時に、不連続な進行波まで含めて構造を見ることが自然な見方であることをも示すものである。
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