2008 Fiscal Year Annual Research Report
非線形拡散方程式における進行波と界面ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
19740092
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
柳下 浩紀 Kyoto Sangyo University, 理学部, 准教授 (80349828)
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Keywords | 応用解析学 / 非線形現象 / 非線形解析学 / 拡散方程式 / 放物型微分方程式 / 力学系 |
Research Abstract |
本研究の主目的は、非線形拡散方程式における進行波と界面のダイナミクスを数学的に理解することである。界面とは、二つの違った状態を隔てる空間的な局在構造であり、散逸系における空間パターンの力学的な振る舞いを理解するために従来より研究が重ねられてきた。進行波は一定の形状を保ちながら一定速度で動いていく特殊解である。この特殊解は界面の基になるもので、実際に界面は局所的にはこの解で近似できることが多い。本年度は、フィッシャー方程式の非局所的な拡散効果を持つ場合に対するモデル方程式について研究した。フィッシャー方程式は、通常の拡散効果を想定した、優越種の侵入と伝播を記述したモデルである。それに対して本年度の研究で対象にしたモデルは、拡散の効果が確率分布との合成積で表される場合を想定したものになる。このようなモデルに対して、初期に与えられる擾乱が広範囲に渡れば擾乱は空間的に拡大していくことを示した。さらに、擾乱の平均伝播速度を与える一つの公式を導いた。上記の結果を得るのに使用した手法は、全く同じ非局所的な拡散効果を持つ二つの単安定系における伝播速度を比較するのにも使える。そのために、双安定系における進行波解の存在問題を研究するための重要な鍵になることも期待できる。また、従来までにも連続時間モデルの非局所系は様々な視点から研究がなされてきたが、擾乱が伝播していくかどうかという問題については、数学的に明確な解答を与えたものはこれまでにはなかった。したがって、これら照の成果は、その主張そのものとして興味深い新しいものでもあり、また、数学的な手法の観点か照は進行波解の構造の研究に有用なものだと言えると思われる。
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